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【第3回】企業内のリーダー・指導員インタビュー「サントリービジネスシステム株式会社 平岡典子さん・末木恵さん」

インタビュー|障害者雇用を推進される企業のご担当者|平岡典子さん・末木恵さん|毎日、全員が「来たい!」と思う職場にしたい

サントリービジネスシステム株式会社コラボレイティブセンターでは、16名の社員の皆さんが働いています。自主性やチャレンジ精神を大切にされている職場は、活気に満ちていました。
どのような指導をされているのでしょうか? 当センターの設立にあたり、2016年から関わられている平岡さんと、今春から現職に就かれたばかりの末木さんにお話を伺いました。

一人で抱えない。周りにヘルプを出すことはメンバーにも有益!

現在の業務について教えて下さい。
末木さん: コラボレイティブセンターでは、さまざまな部署から仕事を受託していますが、それらの業務の割り振りなどのサポートをしています。
平岡さん: 業務サポートの他には、メンバーに長く活躍してもらえるような職場環境作り、グループ会社の障害者雇用のサポートをしています。他社や関係機関と交流をはかって情報収集も行っています。

平岡典子さん

平岡典子さん

現職に就かれて何年目ですか? そのきっかけは何でしたか?
末木さん: 春の定期異動です。実はこの部署の概要をよく理解していませんでした。前職は役員秘書で、全く異なる業務内容にびっくりしました。
平岡さん: 4年目になります。きっかけは、社内プロジェクトで障害者雇用をしたいと答申をしたことです。息子が知的障害を持っているということも大きいですが、私自身、何か自分だからできることで会社に貢献したいと考えている時期で、チャレンジしてみようという思いがありました。

現職に就かれた当初、戸惑われたことや困られたことは何ですか? その時にどのような対応をされましたか?
末木さん: メンバーとの接し方が心配で、内示後に「事前に何か準備することはありますか?」と平岡に聞いたところ、「準備はいらない。まずはメンバーと関わって」と言われました。実際、メンバーはそれぞれ特性が違っていて教科書通りではないので、コミュニケーションを取りながら理解していくことが重要だと思いました。
自分から話してくれるメンバーはいいのですが、遠くから見ているメンバーに対してはこちらから話し掛けるようにしました。「体調どう?」とか、「今日の担当業務は何?」と、自然な話題で。16人のメンバーの顔と名前を早く覚えようと決めていたのですが、一人ひとり個性的なのですぐに覚えることができました(笑)

末木恵さん

末木 恵さん

平岡さん: 担当になって半年が過ぎた頃、8人のメンバーのサポートを自分一人で抱え込んでしまい、きついと思った時期がありました。そこで、思い切って周りにヘルプを出したところ、周りの社員がこれまで以上にメンバーに直接関わってくれるようになりました。私の肩の荷が下りただけでなく、メンバーにとってもいい結果になりました。周囲にメンバーのサポーターを作ることの重要性に気づきました。

メンバーの「できるようになりたい」気持ちをサポートするのが仕事

先ほど、朝礼を拝見しましたが、一日の業務の割り振りを、社員が自らやっているのに驚きました。初めからそうだったのですか?
平岡さん: 最初は一人ひとり一日のスケジュールを細かく決めていましたが、もっと仕事の全体を理解して、チームで働くということにチャレンジしてもらうために、今春からこの形式にしています。会社自体が『やってみなはれ』の精神を大切にしていますし、自主性を育む、チームワークを育むというところに大きくシフトすることにしました。
分担を決める上で納期や優先順位を考えることなどは、時々アドバイスしますが、基本的には見守っています。やってみて、できなかったらサポートするということが大切で、成長するためにはチャレンジが重要だと考えています。
チームの責任という意識を持つことで、作業が仕事になり、一人の仕事がチームの仕事になった、という点が一番変わったと思います。

朝礼の様子

朝礼の様子

一日のスケジュールを自分たちで決めるミーティング その1

一日のスケジュールを自分たちで決めるミーティング その1

一日のスケジュールを自分たちで決めるミーティング その2

一日のスケジュールを自分たちで決めるミーティング その2

これまで、一番印象に残っているエピソードを教えてください。
平岡さん: 手先の器用でないメンバーが、細かな作業をみんなと同じようにできずにいました。違う仕事に変えようとしたのですが、彼は「できるようになりたい」と言い、サポートを受けながらがんばり、最終的には他のメンバーと同じようにできるようになりました。そして、「できた!」と心から喜び、自信に満ち溢れた表情は今でもよく覚えています。
このことから、こちらがメンバーの限界を決めてはいけないという教訓にしています。これまで教えてもらう機会がなかったり、経験がなかったりするだけで可能性は未知数です。本人ができるようになりたいという気持ちをサポートするのが、私たちの仕事だと思います。
末木さん: 今年入社し、作業するときに手が震えてうまくいかないメンバーがいました。面談で本人から、初めての仕事は緊張して手が震えるが慣れたら大丈夫と話があり、実際に1ヶ月ほどしたら震えがなくなったのです。夏に彼の卒業校の先生がいらした際、たった1ヶ月で手が震えなくなったことに大変驚かれました。先生のそのような反応もうれしかったですね。

支援機関とのかかわりについて、ご希望はありますか?
末木さん: メンバーはそれぞれに悩みを抱えています。家庭環境も違います。会社でのことは私たちがサポートできますが、会社でも家庭でも話せない思いを、支援機関の方に聴いていただけるといいですね。それで気持ちが落ち着いたというメンバーもいます。
平岡さん: 基本は会社が長く働いてもらえるようサポートしますが、学校、支援機関、その他の社会資源と連携して、それぞれの専門性を生かしながらメンバー一人ひとりをサポートしていきたいです。ですので、支援機関の皆さんにも、このサポート体制の輪のなかに入っていただきたいと思います。

コミュニケーションをたくさんとって、毎日、全員が「来たい!」という職場に!

日々、心がけていらっしゃることを踏まえて、これから障害者雇用の現場に就かれる方にアドバイスをお願いします。
末木さん: 最初は不安もありましたが、私は前向きにとらえて、10代後半から20代前半の若いメンバーと働ける、元気をもらえる! と気持ちを切り替えました。本などによる知識ではなく、メンバー本人とコミュニケーションをたくさんとって、一人ひとりを理解していくことが大切だと思っています。
平岡さん: 私が最近大切にしていることは、彼らのこれまでの人生のバックボーン、例えば、いじめられた経験とか親御さんとの関係なども含めて受け止めていくことです。そして、毎日、全員が来たい! と思う職場にしたい。一日一回はメンバー全員に声をかけること、目をみて話をすることを意識しています。そうすると小さな変化に気づくことができます。安心できる職場だからこそ成長できると思っています。

社員の皆さんの積極的なチャレンジの後ろに、指導員の皆さんのしっかりした見守りがあることを感じました。貴重なお話をありがとうございました。




《社員の方にもインタビュー!》
入社4年目の武内さん、入社3年目の村田さんにお話しを伺いました。仲間とコミュニケーションをとりながら、イキイキと働く姿が清々しく、インタビューにも素直に答えてくださいました。

武内さんと​村田さん

(左から)武内さんと​村田さん

仕事に慣れてきて責任が持てるようになりました!

得意な業務を教えてください

入社3年目の村田さん

入社3年目の村田さん

村田さん: 経理資料整理の業務です。サントリーグループの各拠点から来た資料の伝票番号、支払先をエクセルに記録する仕事です。
武内さん: シュレッダー、パソコン入力、メール便が得意です。不器用なので、細かい仕事は時間がかかります。お金の計算も苦手です。
指導員: 彼は、コミュニケーション能力に長けていて社内でも知り合いが多く、外国籍の社員の方にも臆することなく接する事ができるんです!

仕事をされていて、困った事はありますか?
村田さん: 大変だと思うことはありますが、わからないことは周りに聞いたりしています。失敗するときもありますが、そんなときはすぐに相談しています。
武内さん: 困った事は…… ありません!!

お二人とも、仕事に対して前向きに取り組まれているんですね!
では、自分の成長を感じるのはどのようなところですか?

村田さん: 仕事に慣れてきて責任を持てるようになりました。出張にも一人で行っています。
武内さん: パソコン入力が早くなり、仕事がスピーディーにこなせるようになりました。社内にも知り合いがたくさん出来ました。

知り合いを増やすコツはありますか?
武内さん: 自己紹介をするときに、コミュニケーションを取りながら楽しくお話をしています。楽しく話すと増えちゃうんですよ!

入社4年目の武内さん

入社4年目の武内さん

周りとのコミュニケーションを大事にされている事はとても良いことですね。朝礼後、業務の割り振りを自分達で行っているのを拝見しましたが、声を掛け合いながら自主的に動く姿勢がとてもかっこよかったです。
さて、(話は変わりますが)休日はどのように過ごされているのですか?

村田さん: 体力をつけるためにジョギングなどの運動や、スペシャルオリンピックスの活動を行っていて、週に一回バスケットボールをやっています。川崎のチームに所属して、先月の大会では、東京のチームと対戦しました。
他にも家でゆっくり休んだり、電車に乗って出かけたり鉄道の車庫へ行ったりもします。
武内さん: リフレッシュをしたり、一人で散歩をしたり、ご飯を食べに行きます。家族と一緒に食べに行くこともありますが、一人で行く事にも挑戦しています。サッカーも好きです。

お給料は何に使いますか?
村田さん: お給料は交通費や趣味、時刻表など欲しい物を購入したり、家族にケーキを買ってプレゼントもします。
武内さん: サッカーグッズやジャニーズグループ、KAT-TUNのグッズを買いに行きます。

自分にとってサントリーの『やってみなはれ』が大切な言葉です

夢はありますか?
村田さん: いろんなことに挑戦すること。大阪にもコラボレイティブセンターが出来るので、大阪で仕事もしてみたいです。
武内さん: もっと出来る仕事を増やしたいです。もっと出張もしたいです。

最後に、現在就労移行支援事業所に通所されている方や、これから企業で就労される方にアドバイスをお願いします。
村田さん: 初めての仕事でも慣れてくるとスピードが上がります。いろんな業務があります。どんなことでもまずは挑戦してみてください!
武内さん: 出来ないと思わないで、頑張ってやってみると少しずつ出来るようになるので、あきらめないで頑張ってください。自分にとってサントリーの『やってみなはれ』が大切な言葉です。
WEL’S 秋山: お二人ともお仕事が大好きなんですね!
村田さん: はい! 大好きです!
武内さん: ……。
村田さん: 好きっていっちゃいなよ!!
武内さん: …… 笑
(みんなで大笑い)

インタビューの様子

インタビューの様子

おわりに
お二人の掛け合いやコンビネーションが微笑ましく、まだまだもっとお話を聞きたい! と思うとても楽しい時間でした。
お話好きで、目を輝かせながら一生懸命話をしてくれた村田さん、質問中、木村拓哉さんのモノマネ(『待てよっっ!!』)をしてくれたムードメーカーの武内さん、学年は武内さんが一つ年上ということでしたが、年齢に関係なくとっても仲良しで、仕事中もチームを意識し、お互い声を掛け合い助け合いながら業務をされていて、改めてチームの大切さを感じました。

コラボレイティブセンターがあるオープンな社内の様子

コラボレイティブセンターがあるオープンな社内の様子

サントリーホールディングス株式会社は、令和元年 障害者雇用エクセレントカンパニー賞(産業労働局長賞)を受賞されました。

  • 取材日 2019年10月11日
  • 取材者 特定非営利活動法人WEL’S 筒井 久美子/秋山 美雪

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